2019年発表の『ザ・パルムス・オヴ・ソロウド・キングス』が、泣きのメロディと壮大さを押し出したドラマティックな展開で、マニアの間で話題沸騰となった、オヴシークエのターナー・アンダーソンとインエクソーラムのカール・スキルダムにより結成された新たなるメロディック・デス・メタル・バンド、マジェスティーズのデビュー・アルバム。
90年代に入ると、ブラック・メタルやメロディック・デス・メタルのサブ・ジャンルが勃興し、その中でもメロディック・デス・メタルの発祥の地となったのが、スウェーデンのイエテボリである。ここから日本でも大きな人気を獲得している、イン・フレイムス、ダーク・トランキュリティ、アット・ザ・ゲイツが、その後のシーンの大きな礎を築き上げた。その中でも金字塔となっている名盤が、イン・フレイムスの2ndアルバム『ザ・ジェスター・レース』である。今回このシーンに大きな影響を受けたと公言するのが、アメリカから、登場したマジェスティーズである。彼らは、この90年代メロデス期のサウンドを見事に体現していて、泣きのメロディとツイン・リードを封じ込めつつ、自分達の本来の持ち味である壮大かつドラマティックな展開で、イエテボリ・スタイルを新たなる形で奏でる新世代バンド。
第1弾となる先行シングル「ザ・ワールド・アンシーン」では、90年代直系の見事なメロディック・デス・メタルを演奏しており、アルバム全編を通して、泣きのメロディ、ツイン・リード、叙情的な展開、美しさ、その細部に至るまでシーンの礎を築きあげた金字塔作品を継承したアルバムに仕上がっている。
【CD】【2023/4/26】