メロディック・ロック界をけん引する存在にまで上り詰めた、スウェーデンの H.E.A.Tの通算7作目となるスタジオ・アルバム 。エリック・グロンウォール(Vo)が前作発表後に脱退。その後初代ヴォーカリストであるケニー・レクレモが電撃復帰しファンを驚かせた。本作はケニー復帰後の初作品。
バンドは4月時点で新作から既に2つのシングル『Nationwide』と『Back To The Rhythm』を公開。バンドの顔でもあるヴォーカルの交代というショッキングな出来事があったものの、バンドとしてのアイデンティティは微塵も揺るいでいないことを証明する、力強くキャッチーでフックのある、正に H.E.A.T 節全開ともいえるこれらの曲を公開することで、ファンの不安を見事に取り去った。
アルバム・タイトルになっているForce Majeure(フォース・マジュール)とは、本来「不可抗力」を意味するフランス語であり、自然災害・戦争・飢饉・疫病など、予測や制御のできない外的事由全般を指している。正に全世界が現在置かれている状況を一言で説明した言葉で、バンドにとってもここ数年、十分な音楽活動ができなかったことに対する気持ちを代弁した言葉でもある。しかしそのような状況を打破すべく制作された本作は、彼らが持てる全ての才能を吐き出したかのような、メロディック・ロックの粋を極めた作品で、彼らが今まさに絶頂期を迎えたことを証明する一枚であるといっても過言では無いだろう。
【CD】【2022/8/3】
